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「くだらん」
魔女が呆れ顔で呟いた。
その顔を見てトキは笑ったまま魔女に向き直った。
「なかなか面白いと思ったんだけどな」
以前犬嫌いのマダランが、うっかり学校に侵入した犬に向かって言っていた言葉だ。
その時は魔女と同じようにくだらないと思って聞いていたが、後々よく考えるとあながち間違ってはいないのではないかと感心したのだ。
「どうせそんなくだらんことを言ったのは、この前の一番生意気そうな顔をした奴だろう」
「マダランのことか?」
魔女は案外よく人を見ているなと、トキはまた笑った。
しかし魔女は頷いて目を伏せた。
風が落ち葉を舞い上げトキ達の目の前でひらひらと踊る。
「もうこれ以上私に関わるな。関わったところで百害あって一利なしだ」
「別に俺は一利なんて求めてない。ただ純粋にあんたに興味があるだけだ」
トキは魔女の目を見据えた。
しかし魔女はスッとトキから目をそらし歩くようにと促す。
トキは苦笑いをしながら歩き出した。
「そろそろ森の出口だ」
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