第4章~牢中の記憶と牢番の脱け殻~

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「まったく……一体どうなっている」 メンバーの一人の男がぼやき、頭を乱暴にかく。 先程の騒ぎの熱も冷めあらぬ中、新・ライトルメンバーの五人とソティアは大審議場の中央、証言台の周りに集まっていた。 周りの机や椅子などは先程の騒動で、あちこちに四散している。 兵士達は皆、宙を飛んで逃げていった北の一団を追い掛けていって、今はほとんどいない。 ……しかし、相手は空を飛んでいるのだ。 こちらもスウィットボードか飛空艦で空から追い掛けなければ、追い付くことは難しいだろう。 クレイドは辺りを見回してみる。 ミディアス元帥と、ぼやいていた魔道士風の男は二人で何やらヒソヒソ話し合っているし、近寄れない。 その他のメンバーは……といっても、サングラスをかけた口髭の男はただ、だんまりとしていて、こちらも独特の近寄りがたい雰囲気を醸し出している。 そして、その隣のエーフィはというと、暇そうに一人、辺りの散らばっている物なんかを漁っているが、話すのはやめておこう。 ……こっちが疲れてしまいそうだ。 そして、自分の隣にいるソティアはというと、今もまだ手錠をはめられたままでいるのだが、あれだけの騒動が起こったというのに眉一つ動かさず、 冷めた顔で北の一団が出ていった大きな窓を眺めていた。 「にしても、あのゲルバ陛下の姿はなんだったんですか?普通に元帥が頭に剣を突き刺した時に 死んだと思ったのに、なんかゾンビみたいにまた動き出しちゃって」
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