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砦へと来た当初は今にも泣き出しそうな鉛色を浮かべていた空だったが、ここにきてついに小さな雫がまた一つ、また一つ地面へと降り注いだ。
その雫の落下と重なる様に足元から体を伝う振動。
心臓の鼓動にも似たそれは、此処へと歩を進めるラオシャンロンの歩みであった。
広大な空間が確保された砦の正面には戦闘可能なハンター達が集められていた。
広大な空間といえど此処へ集められたハンター達全てを配置できる訳もなく、負傷者が出た際に速やかに収容と戦闘交代ができる様にと、砦内には第二、第三陣が待機していた。
その中で俺達は第一陣として最前線へと駈り出された。
第四エリアで以前で戦っていたハンター達は大砲やバリスタ、その他の砦の兵装運用に徴用され、丁度手の空いた第四エリアのハンター達が休む間もなく前線へと当てられた。
だが此処にいるハンター達に疲労の色はなかった。
ハンターという仕事柄、長期戦などいくらでもあるため皆慣れているのだろう。
ただ、徐々に強くなる振動にだけは神経が削られる思いだった。
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