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第一陣のハンターの数はおよそ五十弱。
総力戦とは言え戦力を全て出しきるには限りあるこの空間ではこの程度の数しか出せないのだろう。
それしかいないハンター達の中から先行したアレス達を見つけるのは然程苦労はしなかった。
歩み寄る俺に気付いたアレスは片手をあげる。
「来たか赤氷。お互い第一陣なんて運がないな」
「あの狭い砦の中で待つよりは上等だ」
アレスの挨拶がてらの皮肉にそう答える。
奴は鼻で笑うとそうだなと呟いた。
「振動から察するにもう遠くない、後少しで接触するだろう」
霧の向こうを見つめアレスはそう言った。
「一度交戦に入ったらお互いに構ってる暇もないだろう。まぁ、お互い無事を祈ろうや」
「…元より無傷で帰るつもりだ、勝手に祈っていろ」
「フッ…そうかい、悪かったな」
薄く笑ったアレスはそう言うと俺を背にして誘導路入口へと向き合った。
「…じゃあな」
傷だらけのディアブロSの背中はそう言った。
「…あぁ」
そう答え俺もアレスに背を向けた。
もう言葉を交わす事はないかも知れない。
だが俺達にはこれだけで十分だった。
生きるも死ぬも結局は運なのだ、これ以上の言葉は不要だった。
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