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城門をぐるりと囲むくすんだ灰色をした城壁が見える。
雨風に晒されてお世辞にも綺麗とは言えないその壁が、ラオシャンロンの突進ルートから外れた場所にある為に何よりも安心できた。
走った勢いを殺しもせずに激突する様に寄りかかり、そのまま座り込む。
既にここには逃げ延びたハンター達が数人いたが、皆放心した様に思考を殺し、切らした息を元に戻そうとしていた。
そして俺自身も、自分の武器と完全武装のハンター、一人を引いて全力疾走すればいかに鍛えていようと息が切れる。
呼吸量以上の酸素を求める身体は肩で息を吸わせる事で少しでも大きくの酸素を取り入れようとさせる。
その荒い息の俺の腕の中には無事にここまで連れてきたリーアが居た。
彼女もまた息を切らしており、レウスメイルの胸当てに力なく寄り掛かった。
「―――無事かっ?」
息が整うと改めて確認を問うた。
声には出さずコクりとうなずく彼女の頭がレウスヘルムの眼下に映る。
「―――良かった…」
少しずつ整い始めた息に安堵の溜め息が混じる。
その存在を確める様に彼女の頭に手を置くと脱力に身を任せ眼前に起こった惨劇を他人事の様に見つめた。
ラオシャンロンの突進上から逃げ遅れたハンター達の擦り殺された礫死体が数の判別もできず転がっている。
否、転がっているのではなく均されたというべきか。
そしてハンター達を礫き殺したラオシャンロンは遂に城門の眼前に到達していた。
距離故に大砲やバリスタは完全に死角であり、その死角を補い接近を防ぐべきハンター達は蹂躪され、城門は無防備そのものであった。
ただ一つ、この局面でラオシャンロンを撃退しうる撃竜槍は既に稼働準備にかかっていた。
先読みのいい者か、はたまた恐慌した者でも居たのだろう。
恐ろしいほど絶好のタイミングでの起動。
だがそれも砦の耐久力が持てばの話であった。
ラオシャンロンの全体重を乗せた体当たりが命中して砦がまともに形を保っていられる保障などなく、最悪撃竜槍は発動する事なく砦は一撃で破られるだろう。
そして、無慈悲な程に力が込められた体当たりが砦へと激突した。
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