哀雨

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楽屋を出ると 外はバケツをひっくり返した様な 大雨。 それでも俺の手に傘はない。 駅までは最短距離でも 5分、10分は確実。 (絶対びちょびちょ、やな) 別に家に帰るだけだけど どうも気が気でなくて なかなか外に出れずに 空を見上げ立ち往生。 「功太、どないしてん?」 そんな時後ろから聞こえたのは 天気とは裏腹な 心地よい村田さんの声。 「いや、今日傘忘れてきたんですよ」 振り返りながらなるべく、 いつもの笑顔で答えると 「あほやなあ‐、今日朝から曇ってたやん」 と笑いながら 近付いてくる村田さん。  
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