哀雨

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ざあざあと打ちつける雨。 そのたびにぼとぼとと 音をたてる傘。 (村田さん今日泊まりか) (ねた合わせでもするんかな) (そういや明日なんて返そう) (今村田さん何してるかな) 頭が村田さんでいっぱいになる。 傘に染み着いた匂いが それを止めさせてくれない。 ふと気がついて 前から来る人を見ると 傘を差していなかった。 (いつのまに…) 駅に行くまでに止むなんて、 なんちゅ‐気紛れな天気。 空には光の筋が見える。
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