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「ルーラや…」
おばばは目を開き同じ部屋にいる少女を呼び寄せた。
「はい」
少女はおばばが横になっているベットの横にある椅子に腰かけた。
ルーラと呼ばれた少女は久しぶりに入ったこの部屋の違和感に戸惑いつつも何もなかったようにおばばを見る。
「風は何の為にある?」
おばばは少女…ルーラの姿を確認して静かに聞いた。
ルーラはおばばがいつもと違うことに気が付いた。
弱くなっている。いや、生気がないのだ。
「…なくてはならないもの。風は人間に恵みをもたらしてくれる。」
聞かれた質問に疑問を持ちながらも答える。
「時には牙を剥くぞ?それでもか?」
おばばはルーラの顔を見ながら再度聞く。
ルーラはびっくりしてお婆を見る。
「牙を剥く時は私達…人間が悪いから。自分の利益、欲望の為に自然を壊し風の言葉を聞かなくなるからよ。」
ルーラはおばばと初めて会った時に言われた言葉を思い出した。いや、それは忘れてはいけない言葉。再度思い返す。
――風を読み風の声を聞き風と共に生きよ。恵みを貰い暮らせ。――
「ほっほっ。」
お婆は満足そうに笑う。
「お婆さま?」
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