小さな自分

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さすがに三度目の夏休みになると宿題の多さに嫌気がさす。 {ねぇ、ねぇ。お母さん?見て掛け算だって?僕苦手} 母は笑いながら {貴美も3年生。お兄ちゃんなんじゃけん。頑張りんさぃ} {は~ぃf^_^;} と母に答えた。 机に向かい一の段から読み上げる。 そんな日が何日か続いた。ある日ラジオ体操から帰って来ていつもの様に宿題を始める。 その日は何故か宿題をするのが嫌になり夜することにした。 宿題をしてると父が帰宅。 ビールを片手に父の大好きな野球をテレビで観戦し始める。 その年はカープが優勝するかどうかの試合だった。 僕は野球を見るのは嫌いだひたすら九九を大声で読み上げる。 8の段になると何故か分からなくなる。 {ねぇ、ねぇ?お父さん?掛け算教えて} カープが勝っているから 機嫌がよかったのか? 父は優しく教えてくれた。リリリリ、リリリリ、リリリリ。 家の電話が鳴る。
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