第二章 第一話

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「おい勇気!どこにいるんだ!ちったぁ店のほうも手伝えっつーの!」 「いまトイレにいるから無理ー」 「はぁ!?俺トイレのすぐそばにいるんだけど!?ぐだぐだ言ってねーでとっとと降りて来い!」 すると、階段の上から不快そうな顔をした少年が降りてきた。名前を羽島勇気といい、父の快気が失踪(勇気はそう聞かされている)してから、叔父の旭前記に引き取られて生活をしている。 「はぁー、おかげで漫画読み損なったんですけどー。せっかく発売日に買ってきたというのに。」 「今日店番するって言ったのはお前のほうだろーが!たかが漫画ごときで約束忘れんな!」 「は!?あの漫画をたかが呼ばわりするとか超心外なんだけど!?もう分かった!読みながら店番する!」 「客が来たらどうする気だお前は!失礼にも程があるだろ!」 「どうせ客なんて一組来れば良い方だろうが!そんな台詞はもっと客が入ってから言え!」 「・・・・・・とっとと店に行け!」 勝ち誇ったような表情をしながら店に向かう勇気を見て、悔しそうな表情を浮かべた記だったが、やがて、 「ま、昔に比べたら明るくなった方か。」 とつぶやいた。
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