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何度目だろう…
ずっと同じ夢を見ている
灰色―――
何もかもが灰色に染まった世界を、僕はただボーっとして見ている。
土も草も空も、自分さえも…何もかも灰色だった――
――その中に君は突然現れた。
灰色一色の世界に、絵の具を一滴垂らした様に…君は突然現れた。
君だけがこの世界でたった一つ、色んな色を見せてくれる。
退屈で淋しいこの世界を、君の持った色で新しい世界に変えてくれると信じてる。信じて君に手を伸ばす、だけど伸ばした後に気付く…
キミハ、ナニイロダイ―――?
そして、いつもここでこの夢は途切れる…
統京都12番区画 統京湾港倉庫横路地
「―――ん?」
夜。普通なら誰も居ないこの近辺に、人の気配がしたので灰色の少年は夢から現実の世界に戻ってくる。と、いうより夢がそこで終わってしまったからなのだが…
「ハイジ」
その続きを気にする間も無く名前を呼ばれ、完全に目を覚ますしかなかった。「…遅刻ですよ」
路地の入口に立つ先程自分の名前を呼んだ男を寝そべったままチラっとみて、夜空へと視線を移す。相手が誰かを確認するのに、それで充分だった。
「悪ぃ悪ぃ、俺のナイスなリーゼントの形が決まらなくてよ」
この都市で、今時こんな頭の男は2人と居ない。
「毎回会う度思うんですけど、そのアロハシャツどーなんですか?」
「ハッハー!今日もかなりナイスなチョイスだろー」 …頭の中も、2人と居ない。
「アキラさん…これから俺達がする事、ちゃんと理解してますか…?」
「大丈夫、ノー心配だ。仕事はきっちりナイスにこなすのが俺のモットーだ」
「じゃあ、今度からきっちりちゃんとした服着て来て下さい…なんせこれから俺達がやる事は」
ドロボウ。なんだから―――
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