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23時55分 統京湾沖
その日、見慣れない船舶が沖合に停まっていた事を知る者は居なかった――
「それで、奴らは今日動くんだな?」
船の上に積まれた巨大なシルエット――
「確かな情報よ。ただ、情報元はあかせないけど…」
全身を黒で塗装された姿はまるで忍者を思わせる――
「信用してない訳じゃない、ただ…」
黒い機体は静かに夜を待つ。
「さっさと始めないと、俺が船酔いで死ぬ……」
統京湾沖合で、巨大な人型の機械が波に揺られながら今回の作戦の為に配置されていた。
「ナツヒコ……、あんた真面目にやる気ある?」
船内ではミコトがバックアップの為にスタンバイしている。
「こっちは真面目だ…さっさと借りを返したくてウズウズしているんだからな」
無論、黒の機体の中ではナツヒコが今か今かと待っているのだが――
今回の作戦はナツヒコたっての希望で、単独の任務となっている。前回の失敗を教訓にしたのか、してないのかは定かではないのだが、他に誰かがいると指示をだしたり守ったりだので本気が出せない――と、いうのが本音にあった。
「今度は絶対に逃がさない…その白い牙、俺が必ず斬り捨てる」
「まだ白の牙って決まった訳じゃないんだし慎重にやってよ、それにあの灰色のDSが居るとは限らないし…」
「分かってるさ。だが…」
今宵の月は満月だ………人工的な月だと分かっていても人は何かを思う――
「今夜は何かが起きる気がする。そう、これからの人生が変わってしまう位に大変な事がな…」
「ハァ…、いつからそんなロマンチストになっ――」
BoooMmmm‼
衝撃――
「―――っ、何⁉」
それは突然の爆発音。沖合から真っ直ぐ、港の倉庫が並ぶ一角でそれは起きた。
煙と共に月明かりに照らされ、巨大なシルエットが映し出される。ここからでも簡単に確認出来たソレは、鈍く光る『灰色』――
「…な、起きただろ」
男は微笑む、まるでケモノが獲物を見つけた様に…
―――時刻は、既に0時を迎えていた…
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