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「だ、そうね。なつひこクン」
統京都統括本部 ロビー
入口から受付まで辿り着くまでが長い為、専用の乗り物まで作った広大なロビーの一角。
自動販売機の前で飲み物を選びながら女性が、さっきからグターっと待合用の長椅子に座り込む黒スーツの男に話し掛けている。
「結局、謎の機体は取り逃して…」
肩にかかる程度のショートの髪、やや細身で長身のバランスのとれたスタイルの女性。
「しかも、ウチのDSを3機も潰されるなんて」
さっきから嫌味を言われ続けているのは、先刻黒い機体DS(ドライブ・サーバント)に搭乗し指示を出していた男だ。
「出世街道まっしぐらの矢先に大問題発生かな~?」
「…ミコト、性格そんなだったか?」
あきらかに誰でも怒る嫌味を言われたのに、表情一つ変えない。
「チェー、つまんないのー」
冗談がすぐに分かる、そんな関係だった。
「ハイ、これでも飲んで元気出しなさいな」
先程、自販機で購入した缶コーヒーを手渡す。
「サンキュー」
いつの時代にもよくある光景、だが二人共ただのサラリーマンとは違った。
『統京都統括本部 特別執行機関所属』
強襲制圧部隊隊長
黒刀夏彦
諜報部部長補佐
星川命
この人工的に作られた都市統京を管理、統括する為に存在するこの組織の人間である。
「でも、あの時なつひこじゃなかったらもっとやられていたと思う」
確かにその通りだった、破壊されたDS3機はなつひこの指示を待たなかった。勝手に飛び出した揚句、他の機体を巻き込み自滅したのだ。
「死者が出る事なく済んだんだから、それだけでも誉められる事よ」
「そうだな、でもこれでまた一からやり直しだ。やっと奴らの尻尾を掴めるかと思ったのに…」
強襲部隊の存在理由…別に治安を守る為なら、わざわざこんな特殊部隊は必要無い。
強襲部隊の本来の目的、テロ組織“白の牙”排除こそが彼等の仕事。
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