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日が暮れ始めた頃、美季子が手続きを終えて帰って来た。
私が通うのは五弁花村東学校だそうだ。
この学校は一学年の人数が三十名程で少ないので小・中学校が合わさっていて、
高校はというと隣の六弁花村にあるらしい。
美季子は夕飯を食べながら美久に色々と説明をした。
「再来週から通う事になるから、そのつもりでいなさい。」
「はい。」
「………。」
「………。」
美久は自分から話しをする様子を一切見せない。
『なんて暗い子供なんだろう。
見た目は尚美似だけど陰湿なのは父親似ね。』
美季子は味噌汁を啜りながら思った。
「そうだった……親権の事なんだけれど」
「………。」
「一応尚美のままにしておいたわ。
私に色々と責任が降り懸かっても面倒ですし…。
それだけ頭に入れておいきなさい。」
「はい。」
こうして美久と美季子の生活が始まった。
二人は必要最低限の事しか喋らなかったし、もちろん微笑みを交わすこともなかった。
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