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しばらくこの状態のまま…
二人は何も話さなかった。
聞こえてくるのは、
互いの呼吸と
暖房機の音だけ。
どれくらい経っただろう…
と麻衣は考えながら、
顔を上げ修二の顔を見つめた。
麻衣の垂れた前髪を
指先で軽く横に流し、
修二は唇をふわりと
麻衣のそれとあわせる。
そこからは
ほんのりと先程飲んだ酒の香りと
わずかなほてりが感じられた。
それでも…
「まだ寒いよ。」
麻衣が弱々しく
震えながらそう言い、
また修二の胸の中に
顔を埋めた。
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