序章-未来へ-

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しばらくの沈黙が続いた後、先に口を開いたのは彼だった。 「お前はこれからどうするんだ?平成時代ってことは戦闘能力もないし、第一丸腰だろ」 立ち上がった彼は、私に手を差し伸べて聞いてきた。私は彼の手を借り花畑に立ちながら答える。 「取りあえず平成に戻れる方法を探したい。なんで此処にきたのか原因すら分からないし、どうやって此処にきたのか知りたいし…」 第一にすべきことはこうでしょ?と付け加えて彼に述べる。 しかし彼は一つため息をついた。 「しゃーない、協力してやるかあ」 「え?」 「お前一人にさせるとなんか危なっかしいわ。取りあえずお前が元の時代に戻れるまで、俺が面倒を見てやる。」 そういった彼に呆気にとられていると額をつつかれた。 「俺は、千武。あんたの名前は?」 「私は宮野久遠。ありがとう千武君、お世話になります。」 そういって私はうれしさのあまり笑顔になる。彼は黙って私の頭を撫でてきた。 結局携帯は私のブレザーのポケットに入っていて、開けば圏外で日付がエラーを起こしていた。 ここは未来なんだなと言う事を改めて思い知らされながらも、先に歩いていく千武君の後を追いかけ花畑を後にした。
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