花の君
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急ぎ足で、時計を睨みながら街を駆け抜けるスーツの男の人。 きっと会社の制服であろう薄ピンクの服に身を包み談笑する女の人達。 子供連れの、身奇麗な母親。 毎日色んな人が私の視界に入っては消えていく。 いっぱいいると、人も背景と同じに見える。 ぼけっと、外を眺めながらそう思った。 現に私の座っている席からは色んなものが見えていた。 けれど、記憶には残らない。
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