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ある快晴の金曜日。
「起きなさい雫!〔シズク〕遅刻するわよ!」
「あと1分だけぇ~。」
と、1階と2階で会話をするよくある朝の日常。
タンタンタンタン。ガチャ。
と母が階段を登って部屋に入ってくる。
「い~かげんに…なさいっ!!」
と、おもいっきり布団をひっぺがし雫〔シズク〕を叩き起こした。
「あぅ~、お母さん強引なんだからぁ。」
「なに言ってんの!
あんた今何時だとおもってんの!?
早く朝ごはん食べて学校行きなさい!」
そぉ言い払い母が部屋から出ていった。
「寒っ!眠ぃ~」
と頭をポリポリとかきながら雫はカーテンを開けた。
「今日はいい天気だなぁ。」
そぉ言いながら肩位まで伸びた茶色の髪をとかし、机の横のハードケースを開けた。
「おはよ☆。今日もヨロシク♪」
と、ハードケースから取り出した物に話しかけながら足元に運ぶ。
カチッ、パチンパチン。
と馴れた手付きで雫が装着したのは義足。
雫は五体不満足。
産まれた時から右足がない。
「いってきまぁ~す。」
朝食を簡単に済ませ、玄関のドアを開ける。
「雫遅いよぉ~。完璧に冷えたわぁ。」
と寒そうに自転車に乗って家の前にいたのは同じ中学校で幼なじみの鈴菜〔スズナ〕。
「ごっめぇん。布団が放してくれなくて☆」
「バァカ。あんたのカレシは布団か!
早く乗って!」
そぉ言って雫を後ろに乗せて鈴菜は自転車をこぎはじめた。
外はひんやりと冷たく、太陽の光は暖かかった。
学校の近道である川原沿い。
川は輝き緩やかに流れていて芝生には小さな花がちょこちょこと咲いていた。
「春が近いねぇ。」
とおばさん臭い口調で雫が鈴菜に話しかける。
「春といえば聞いた?今日雫のクラスに転校生が来るんだって。」
「ホント!?聞いてなぁい。」
「まぁどんなヤツか帰る時教えてね?」
「了解でぇす。」
そんな会話をしながら2人は学校に向かった。
転校生の待つ学校へ…
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