序章

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泣きたくなる衝動を押さえながら道をゆく。 玉菊屋の昼三初音が泣いてはいけない。 強くならねば……。 強くならねば……。 そうあの人と誓い。待ち続けるのを誓った。 誠一郎は初音に何も言わないが金の無心もしなくちゃんと自分の金で遊びに来ていた誠一郎を初音は信じていた。 たちの悪い間夫なら金の無心をしてそれに引っ掛かった女郎は借金まみれで店替え。 そんな女達を何人も見て来た初音だから、金がないのにも関わらず自分で金を作って初音を買う誠一郎は他の男とは違うとそう頑なに信じていた。
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