~はじまり、はじまり~

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辺り一面、真っ灰色。 明も暗もそこには存在せず、床も天井も壁も、目で確認する事が出来ない。 灰色の世界。いや、部屋といったほうがいいだろうか。 異世界、異空間、異次元。 そんな表現がもっとも適切なこの空間に、宵闇の様な黒一色の服装を纏い、雪の様にまばゆい光沢をもつ銀髪を生やし、この場と同色の灰色の肌を持つ者達が、四人佇んでいた。 四人はそれぞれ、等距離で向かい合うように立っている。 大きいのか小さいのか、広いのか狭いのかも解らない灰色のこの場に、空気などがあるのかもわからないが、空間に声が響く。 「ね~え~ まだ始めないの~?」 その声は、子供のような背格好をした一人が言ったものだった。 「ケニスさんが……まだ……来ていない」 髪を足元に届くほど伸ばした一人が、いちいち区切った聞き取りにくい喋り方で注意する。 「あっ本当だ! 気付かなかった。なんだよあのオッサン遅刻かよ。人に散々、時間を守れとか、身嗜みを整えろだのエラソーな事言ってたくせにさぁ!」 どうやら、この四人はケニスという人物の登場を待っているようだった。
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