1909人が本棚に入れています
本棚に追加
/102ページ
「おぶっ!!」
ゴッ、と嫌な音が辺りに響くと会長さんは俺から腕を放し、ふらふらしながらはる兄に蹴られたこめかみの辺りをひたすら撫でていた。
「幸兎にセクハラ発言かますなド変態」
はる兄は背後に真っ黒い煙の様な物を漂わせながら蹴った方とは反対の会長さんの耳を摘み、ぐいぐいと引っ張る。
「いででででで!」
「は、はる兄、会長さんが…」
「大丈夫だよ、幸兎は優しいね」
いや、優しい優しくないとかじゃない気がするんですけど…。
「そのパジャマ、似合ってる。……凄く可愛いよ」
会長さんの耳を引き千切りそうな勢いで引っ張りながら、優しい笑顔で告げるはる兄。
俺はちょっぴり恐くなって、ただこくこくと頷いてお礼を言っておいた。
「遥っ、マジいてーって!耳が千切れるって!」
「大変だね」
「お前が引っ張ってるからだろーが!!」
二人の漫才みたいな掛け合いを見て苦笑いを浮かべながら軽く手を振る。
するとずっと黙っていたスズが急に片手を伸ばし、俺の腕をとった。
「へっ?」
「……だから…見せたくなかったのに」
最初のコメントを投稿しよう!