始まり

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ここは私立M大学附属高校。 それなりに学力の高い学校だ。 自分の行動・発言には責任を持つというのが校則の軸になっている。 指定の制服もなく、私服で登校し、授業を受けるのだ。 浩介(コウスケ)は、この学校の2年生。 凛々しい目をした口の悪さが玉に瑕の青年だ。 抜群に格好良いわけではないのだが、不細工というわけでもない。 そんな浩介は自由な校風に惹かれ、受験した。 両親と兄1人妹1人の3人兄妹の真ん中で、ごく普通の家庭に育った。 父親は単身赴任で遠い所に居る。 母親は殆んど父親の所へと行っていて、いつも兄と妹と生活している。 ごく普通…ではないかもしれないが、浩介にとってはこれが普通、当たり前なのだ。 そんな浩介も入学して2年。 面白い友達にも廻り合い、楽しく過ごしていた。 そんな高校2年のテスト期間中のある日、テストが始まって30分過ぎた頃。 『先生。この問題、絶対に解けないと思います。』 静まり返った室内に、教室の後ろの方から教壇に立つ女性教師へ向けた1人の生徒の声が響いた。 生徒たちは解くのを止め、振り返ってその人物の方を見つめる。 浩介も振り返った1人だった。  image=154564669.jpg
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