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タオルを巻いて、頭を拭きながらベッドにいく。
彼女は、椅子に座って目を伏せていた。
ユキエちゃん、と声をかけた。
顔をあげて、俺を見つめる彼女。
「シャワー、入る?」
どきどきしながら、訊いてみた。
うん、と返事をする、彼女。
たたっと浴室に消えてしまった。
はぁ……
どうしよ…
俺、どうしよう。
どうすればいいんだろう。
彼女の前では、どんな甘い言葉も、褪せてしまう気がした。
タバコに火を付けて、ふかしてみる。
少しは落ち着くかと思ったが、全くダメだった。
水の音がする。
彼女はどんな気持ちなんだろうか…
期待しているだろうか。
期待?
何に…?
あーもう、考えない、考えない。
俺は頭を振った。
普通にしよう。普通に…
あんまり気負わないで…
…………。
心臓がおかしいくらいどきどきしている。
はぁ、とため息をついた。
その時、かちゃ…と、ドアが開く音がした。
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