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「はい、おしまい」
俺はそっとそこから離れると、彼女の横に並んだ。
「怜、あたし、我慢できるよ」
「いいよ、そんなの。また次があるし。いかなくたって、充分」
心が満たされているって、こういうことか…
今まであまり話してくれなかった彼女。
肌を合わせてみたら…
こんなにも、通じ合ってたって、分かった気がする。
こんな感覚、初めてだ。
「いつ、雪絵ちゃんが、痛くなくなるかな」
感じさせたい、この娘を。
俺の手の中で、咲かせてみたい。
「なんかごめん、役立たずで」
俺はまた笑う。
「なにそれ」
気持ちよくさせてあげられなくて、と彼女は言い直した。
充分だって、言ったでしょ、と言うと、不思議な顔で俺を見る。
なんか、彼女もやりきれない思いがあるのかな…
「じゃあ、キスしてよ。雪絵ちゃんから、俺に」
そう言うと、裸の彼女が俺の上に乗ってきた。
恥ずかしそうに、唇を開き、俺に口付ける。
閉じる瞳。
俺の胸に掛けられた小さな指…
早く、俺の中で咲いてくれ、と願った。
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