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店から出て、近くの公園を歩く。
夜の公園は、少し肌寒い。
「今日は、何処でお酒飲む?」
彼女に聞くと、怜の好きなとこ、と言った。
「じゃあさ、この公園の前に、でかいホテルあるじゃん、そこにあるバーで飲もうよ」
「そんなん、高そうだよ」
「いいよ」
「普通のとこにしよう、バイト代出たから、あたしが奢るよ」
「いいって、俺なんて金持ってても、ろくなことに使わないから」
そう言って、海沿いの公園は風が強いなぁ、と思ってみる。
「少し、寒いね」
「近くにおいでよ」
肩を抱き、引き寄せる。
「怜って、あったかいね…」
体を寄せてくる彼女。
また俺の中の何かが、ふつふつと顔を出してくる。
……じっと、彼女の顔を見つめた。
「どうしたの、怜」
彼女の茶色い瞳も、闇に紛れて少し暗く見える。
「雪絵ちゃんのことが、好きだ…すごく」
じっと見つめる。
彼女も、見つめ返してきた。
「怜……」
半開きの唇に、自分の唇を重ねる。
全部、全部…俺にちょうだい…
……愛してるから。
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