右手と左手

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あんなことやこんなこと… たくさんのことを、二人で試した。 お互いの気持ちいいところを全部、知り尽くして… お互いが言われて興奮する言葉を、投げ合って… 何度も抱き合う行為。 頭がおかしくなったんじゃないかと思うくらい、セックスが好きになった。 してもしても、足りない。 毎日しても、またすぐ欲しくなる。 彼女の身体を支配しているのは俺なのに… 俺も彼女に、支配されているのか? 他の女には、全く興味がいかなかった。 遠く離れても、彼女ばかりを想って、熱い塊を握る。 …雪絵ちゃんに逢いたい。 俺は、電話してみた。 呼び出し音は、五回。 「はい」 「あ、雪絵ちゃん?俺」 「怜?仕事終わったの?」 「うん、とっくだよ。今日は家?」 うん、と言う彼女の声が、可愛くて、逢いたさが募った。 「雪絵ちゃん…俺、すごく逢いたいんだ」 「でも、ダメなんだから、もう少し我慢だね」 ふふ、と笑う。 駄目だ、抱き締めて、キスしたい。 「……雪絵ちゃんに、キスしたい」 と言うと、あたしも、と返ってきた。
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