右手と左手

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「怜が変なこと言うから、どきどきしちゃうじゃん」 「俺もどきどきしてるよ」 少しうわずったような彼女の声。 彼女の体を思い出して、反応していく自分自身。 彼女の柔らかい唇… 甘い、吐息。 彼女の熱い体内…… みんなみんな、俺のものにしたい。 「………」 「なんで、黙ってるの」 「………たまんないよ、雪絵ちゃんのこと想うと」 俺は、彼女も自分と同じ気分なことを祈る。 「雪絵ちゃんを、めちゃくちゃにしたい、今すぐ」 「……あ、あたしも、怜に逢いたいよ…」 「あぁ。可愛い。雪絵ちゃん…ねぇ、俺の言う通りにしてくれる?」 なぁに、と、俺を信じている声。 「…触ってよ、自分で、自分を」 雪絵ちゃんの可愛い声が、聴きたいんだ、と、精一杯甘い声で頼んでみる。 お願い。 だって、好きなんだ、すごく……
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