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彼女を想って、部屋に佇む。
煙草の煙が、部屋に充満した。
自分の気持ちが、彼女の気持ちが分からない。
このままでは、きっと…
彼女も、俺も、解り合えない気がした。
原因は、何処にあるんだろう。
俺の過剰な愛か、彼女の心か…
珍しく落ち込み、溜め息を着いた。
携帯が鳴る。
名前を確認すると、古い友達だった。
「なんや」
「おぉ、俺ばってんが」
「久し振りじゃなか。今何しとるん」
古い友人の声に、少し顔が緩むのが分かった。
「今、実家で親父の手伝いしとるよ。家族で仕事するんはなかなか…しんどかね」
お前は今、どこにおるんや、と聞かれ、大阪、と答えた。
「もう熊本には帰ってこらんと」
「帰る気なかね。実は…横浜に引っ越そうかとも思うとる」
「そりゃまた…なんでや」
「彼女が横浜におるけん」
お前、彼女おるんか、とびっくりしている友人。
「もう、ナンパしとらんと?」
しとらんよ、と答えると、怜がナンパしとらんなんて、考えられん、何があったんや、と聞いてくる。
俺は少し戸惑い、それから答えた。
「………女に惚れた」
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