・-†淡雪†-・

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独りになった自習室で鞄から携帯を取り出し、電話帳から亮の名前を見つけると躊躇いもせずその名前を消した。 『……』 携帯を鞄の中にしまい、目の前に視線を向ける。 自習室の机の正面は中庭に向けて窓になっている。 いくら三階にある自習室とはいえ、構内の中… 人の目を気にして閉めてあったカーテンを開けると、大輪の桜の花が思いっきり咲き誇っている。 椅子に腰掛け、笑顔を浮かべると私は大輪の桜を眺めた。 『綺麗…』 この季節は大好き…。 暖かくなって、薄着になり外に出るのが楽しくなる。 出逢いだけの季節ならいいと、どれだけ思っただろう…。 3年前のあの日の… あの別れが頭に蘇る。
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