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3年前―─…
「ちーちゃん!!!」
後少しで新しい学年がスタートする春休みのある日。
部活の練習で学校に来ていた私を呼び止める、聞き覚えのある優しく心地良く響く声。
『サクっ!!!』
振り返った私の目に飛び込んできたのは、Tシャツに制服のズボンをふくらはぎまで折り上げて校内用のスリッパのまま走って来る一つ下のサクだった。
『どぅしたの? まだ春だよ?』
「部活終わって皆で、鬼ごっこしてんだ!」
『元気だな~すごい汗…』
私はカバンの中から、部活用に持ってきていたタオルを出し、優しくサクの顔を拭いてあげた。
「ちーちゃんのいい匂いがする」
タオルで顔を拭く私の手を押さえ、サクはタオルの匂いを嗅ぐ。
私は心臓が激しく脈打つのを感じた。
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