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『か、風邪ひいちゃぅょ? ちゃんと汗拭かなきゃ』
私は早く脈打つ鼓動に気付かれまいと、捕まれた手を振りほどきサクの肩にタオルをかけた。
「ちーちゃん顔赤いよ?」
『赤くない!』
「ハハッ…もぅ帰るの?」
『うん。帰って彩と買い物行くんだ』
「お土産買ってきてね?」
『何のお土産?』
「…何のだろ?」
談笑していた、その時。
強い風が吹き校庭に咲いてる桜の木々が揺れ、沢山の花びらが宙に舞った。
『綺麗…』
「うん…あっ!! 鬼来たっ!!! ちーちゃんお土産頼んだからねっ!」
後ろから走ってきた同級生の男子から逃げるように、サクは凄い勢いで私の横を通り過ぎて行く。
『捕まるなよっ!!!』
サクを追い掛ける鬼役の同級生を見送り、私はそう叫んだ。
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