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息を切らせ部室の前まで来た私の目に写ったのは、制服姿のサクだった…。
カバンまで背負い、帰る準備万端のサクが誰かと話しながら、部室から出てきた。
『…部活は? 体調悪いの?』
「ちーちゃん…」
サクは後ろを振り返り、バスケ部の部長に頭を下げると、私の手を引き足早に歩き出した。
『……サク?』
「……」
サクは私の問い掛けに返事もせず、無言で歩き続ける。
「ちーちゃん、ちょっと待っててね?」
サクはそう言い、体育館の中に入って行った。
五分位すると体育館の中からは、沢山の男子生徒達の声が響く。
その声の後、サクは目を赤くさせながら体育館の中から出てきた。
「ちーちゃん行こう?」
『…うん』
前を歩くサクの後ろを黙って歩く私は、正門まで続く桜並木の中で足を止めた…。
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