4409人が本棚に入れています
本棚に追加
G県はここから飛行機で二時間以上もかかる場所。
「だから、新学期からは…ここの学校の生徒じゃなくなるんだ……」
『……』
「……俺…」
『嫌だ…サクにもぅ会えないなんて嫌だよ…。嫌だ…!!! そんな遠く…嫌だぁ…』
私はサクの喋りだす言葉を遮り、声にならない声を絞り出した。
「…俺だって行きたくない。ちーちゃんや皆と離れたくない……」
サクはシャツを掴む私の手に自分の手を添えて、力強く握りしめた。
手を握りあったまま…俯くサクの瞳から零れ落ちた一粒の涙は…
声にならない二人の気持ちを代弁するかのように
どうしようもできない現実を嘆くかのように…
静かに握り合う二人の手に落ちた。
最初のコメントを投稿しよう!