ちょろっと待って

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人にさわられるのがいやだった。 だってさ、混ざっちゃうんだぜ。 分子とかさ、原子的なアレじゃあ、すっこすこなんだと思うから。人の体なんて。端っこのほうはなんとなくほつれててそっから染み込んでくのかな。 鳥みたいなやつとか、いるじゃん。 …いつもみたいに、木曜日の夜、きったないソウルCCのスミっこのボックスでラム酒を飲んでた。 心っていうのはさ、鳩やネコがここまではいいけどそれ以上近寄ったら逃げちゃうみたいなラインがあってさ、多分そこを踏み越えると混ざっちゃうんだぜってここの客が言ってた。 俺には、そいつやバロウズが言うような魂的なもんはどうだっていい。見えないもんとは駆け引きしたくない。 ただ、色んな事を覚えてるようにしてる。 誰にどういう嘘をついたとかね。 そうすりゃいつか、俺の運命を編んでるのが誰なのかわかるって思うわけ。 そうしたら、そいつに言ってやりたい事があるんだ。
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