1月1日

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峠を抜けた頃には既に日は昇りきり、身を切る様な寒さは消えていた。 それから走ること約20分、目的の神社へと到着。 そこは古くからの伝統を引き継ぐ由緒正しい神社であり、全国からの参拝者も多く。 元旦とは言え、まだ早朝にも関わらず人で賑わっていた。 「すごい人……」 「早めに来たつもりだったけど、ちょっと甘く見てたな……」 僕達もバイクを降りると参拝者の中に入っていく。 しかし、その人混みの為、思う様に列は進まず、牛歩の勢いだった。 そんな中ようやく初詣を終えた時には、一時間近くが経とうとしていた。 「疲れた~…」 そう肩を降ろして、げんなりする僕に向かって美雪は苦笑いを浮かべた。 「まあまあ、苦労したんだからそれなりの御利益はあるよ、きっと」 「だといいけど、それより美雪、お前、あの時何を願ってたんだ?随分と長かったけど」 美雪は肩をくすめ、知らないとばかりにそっぽを向いた。 「さあ~、何でしょう?」 「いいだろ、教えてくれても……」 「お願い事は他人に教えると御利益無くなっちゃうんだよ。 だからダ~メ、言わない」 「ふーん……、まあいいさ。 それより、何か食べて帰ろっか?朝ご飯まだだろ?」 「うん、そうしよ。 でも元旦で、朝早くだよ?お店やってるのかな?」 そんな他愛ない会話をしながら、僕達は手を取り合い石段をゆっくりと降りていく。
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