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その後、僕たちは静かな雰囲気を醸し出すレストランに居た。
2人でワインの香りを堪能しつつ、口に含んだ。
美雪はその瞬間、光悦の表情を浮かべ、それを見た僕は何故だかこらえきれず、笑いこぼしてしまった。
「どうしたの凜、急に?」
「いやぁ、何回もこうやって食事してきたからかな……。
何だかこういう食事のマナーにも慣れてきて、自分も大人になったんだなって……」
「変なの……当たり前じゃない、大人なんだから、いつまでも子供のままじゃダメでしょ?」
僕は首を傾げながら、曖昧に頷く。
「それはそうだけど、まだ僕達大学生なんだよ?」
そう言うと美雪は返答に困ったらしく、黙って食事を再開してしまった。
しばらく雑談をしながら食事をしていると、不意に店内の照明が落ちた。
「なっ何?何なの?」
「美雪、いいから外……見てごらん」
「えっ外?わぁ!……」
僕達の眼前には照明が落ちたのと同時に灯された、町全体を使ったイルミネーションが広がっていた。
「綺麗……、私イルミネーションが催されてるのは知ってたけど。
まさか、此処まで綺麗とは思いもしなかった……」
「お気に召して頂けたかな?」
「……もしかして凜、これを見せる為に此処を?」
「まあね、それもある」
「それも?」
僕はポケットから綺麗にラッピングされた¨それ¨を取り出した。
「まあ、予想はつくと思うけどはい……クリスマスプレゼント」
「ありがとう凜……開けてみてもいい?」
「もちろん」
美雪は慎重にラッピングを開けていき、箱を開いた。
「……可愛い!」
テーブルの蝋燭に照らされたのは、僕と美雪の名前が彫られた十字架のネックレスだった。
それを美雪は目を細め嬉しそうに見ていた、まるで子供がプレゼントを愛おしく眺める様に……。
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