12月25日

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「良かった、よく似合ってる」 「褒めても何も出ないわよ?」 レストランを出た僕達は腕を組み大通りを歩いていた。 「何か飲む?」 「うん、そうだね。 じゃあ、あそこのベンチに座ってて、コーヒーでも買ってくるよ」 「待って、それぐらい私に払わせてよ?」 「いいから待っててくれって、いいよ今日ぐらい、クリスマス何だから」 「ダーメ!私が買ってくる」 そう言い残し美雪はさっさと行ってしまった。 (まったく言い出したら、人の意見全部無視するんだから……) しばらくして、コーヒーを持った美雪が満面の笑みで帰ってきた。 「ありがとう、ところでどうしたんだ? やけにうれしそうだな、何かあった?」 「あっ、分かる?」 「そりゃ……、笑顔満載で帰って来たら否が応でも気付くって」 「実はねクリスマスキャンペーンらしくて、くじ引いたら当たったの」 「……それだけ?」 「それだけ」 「はぁー……」 「何?その珍獸でも見るかの様な目は?」 「いや、何でも」 美雪はいつもこうだ、小さな事でも、まるでとても良いことが有ったかの様に笑う。 でもそういう所に僕は惹かれたんだ……、側に居るだけで幸せな気持ちにさせてくれる。 そんな純粋な所に……。 そう考えていた時、僕はカップが地面に落ちた音にハッとし、我に返った。 隣で美雪が両手で額を押さえ、うずくまっていた。 「美雪どうした!?」 「ううん、何でもないの……。ただちょっと、急に頭が……。」 「頭が?……そうだな、今日はもう帰ろう、そろそろ時間も遅いし……」 「でも凜、まだ予定が有るんじゃ……?」 「そんなのいいよ、美雪の体の方が心配だ。 遊ぶのなんとまた今度でいい、さっ、帰ろう?」 僕は美雪を立たせて、駅へと向かった。
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