12月25日

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「ゴメンね凜……」 電車の中、美雪は僕の形に頭を乗せ静かにそう呟いた。 「気にするな、なーにまた遊びに来ればいいさ。 正月だって直ぐに来る、その時に沢山遊べばいい、だから今日はゆっくり休みな?」 「うん……そうだね……。 お正月にはちゃんと治して、おせちとかもしなくちゃ」 (大丈夫かな?本当に具合悪そうだ……病院に連れて行った方がいいかも) 「なあ美雪、明日病院行った方がいいんじゃないか? 今もまだ頭痛いんだろ?一応検査したほうが……」 「大丈夫よ、もう殆ど痛くないし、きっとさっきのも突発的なものだったのよ……。 だからもう心配いらないわ、ありがとう」 「……でも」 「し・つ・こ・い、私が心配され過ぎること、嫌いって知ってるでしょ? だからもう心配しないの、分かった?」 「分かったよ……」 駅から歩く事、数分……。 ¨水崎¨と名札の掛かった豪邸が姿を現した。 ここら一帯で水崎家と言えば、大地主で美雪は水崎家のご令嬢である。 「見送りありがとう」 「いえいえ、私こそご令嬢とご同行出来て光栄ですよ。美雪お嬢様」 「もう、やめてってばその呼び方!」 「ははっ、ゴメンゴメン。 じゃあお休み、ゆっくり休みなよ」 僕はそう言うと再び駅へと向かおうとしたが、袖を引っ張られ振り返った。 「ん、どうした?美さ……ん」 「ん……私からのクリスマスプレゼント……。 今日は色々楽しかったよ、ありがとう凜、じゃあお休み……」 美雪は手を振りつつ、玄関へと入って行った。 (柔らかかったな……美雪の唇……) 僕はいきなりの事に呆気に取られ、フラフラと夜道を歩いて帰って行った。 そうこの時は知る由もなかった、この頃既に美雪に病魔の手が伸びていたのを……。
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