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控え室に道弘を呼びに行く銀。
仕切られたカーテンを開けると、脱け殻の様になった赤シャツの道弘が、膝を抱え座っていた。
「どわぁぁぁっ!?!?
ミ、ミッチー…?」
「よぉ…誰かと思えば
銀…じゃんか…ハハ」
きらびやかな赤シャツが、より一層道弘を悲しげに見せる。
「ミッチー…大丈夫か?」
「OPENしてから
指名ゼロって…」
銀は、指名0人に落ち込む道弘のジャケットの胸ポケットに咲くバラを直す。イジけた道弘は、今にも泣きそうになっている。
「みんな雄介雄介雄介雄介…
大和も学も龍二も呼ばれて
……で、俺は指名ゼロ…」
ブツブツと呟く道弘の耳元に銀は手を添え、小さく囁いた。
「ミッチー出番!
1番テーブルな」
「……へ?あの…
で、出番…って?」
「おら!お客さん待ってっし
早く行けって!ミッチーの腕
見せたれぃ!つぅわけで、
盛り上げヨロシク♪」
今イチ把握出来ていない様子の道弘に、白のジャケットを手渡し、ニッと歯を見せ笑う銀を見た道弘。
「…出番……俺出番っ?!?
出番キターっっ!!!!」
道弘は嬉しそうに立ち上がった。
銀は道弘の背中をポンと叩いた。
「ミッチー!ミッチー!
ラーメンつけ麺?」
「俺!イケメン♪」
バサッと勢いよくジャケットを羽織ると、道弘はカーテンを開け、恋、佳奈、穂ノ香のいる1番テーブルへ向かっていった。
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