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白い煙をはく不二雄。気になるのかチラリと横目で、1番テーブルに座る佳奈を見る。
シンプルなシャツにベストを羽織り、ショートパンツからは長い脚が露になっている。
《…よりによって…
眼鏡かけやがってる…》
認めたくない‥と素直になれない不二雄に、追い討ちをかける様な大好物の黒ブチ眼鏡。
「んぢゃ不二雄ちゃん!
オレ先戻ってるわ!」
銀は不二雄のお下がりの煙草を空き缶に押し消し、立ち上がった。
「不二雄ちゃんもサボって
ねぇでウェイター戻れよ!」
「わぁったよ…」
不二雄は、むっつりした表情で返事する。カーテンを開け、戻ろうとした銀の足がピタッと止まった。
「なんだよ?銀…」
不二雄は不思議そうに銀を見る。チラリと不二雄を見た銀は、ニッと子供の様な笑顔を見せる。
「不二雄ちゃん!グズグズし
てっと、誰かに取られっぞ?
じゃ~にぃ~♪」
銀は手をヒラヒラさせながら、控え室を後にした。不二雄は、カァァァと熱くなり、みるみる真っ赤に染まっていく顔と耳を手で隠した。
「うっせぇよ…バカ銀…」
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