エピローグ

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時間という概念が存在しない世界、虚無。 数十回にわたり漆黒の空を現実世界へと介入し続けてきた結果、完全に現実世界と虚無の世界は断絶してしまっていた。 しかし、この虚無の世界でその断絶してしまっている期間を待つ必要はない。 彼らが現実世界に介入しようとする時には、決まって必要な時間軸に世界が移り変わる。 そのため過去に戻ることもなければ、遥か未来に行くこともない。 それだけは世界の理のため、拒絶するのはほぼ不可能であった。 『…………』 黒が主体であるこの空間の巨大な祭壇の上に、レラジェは立っていた。灰色の短髪を揺らめかしながら、目の前に自身の力の大半を送りつけている。 彼女にとっては、この力を送りつけている時間は、一瞬であり永遠でもあった。 最近のレラジェは何かがおかしい。 過去の過ちからの復活を果たしてから、レラジェはある一人の敵のことが頭から離れなくなっていた。 それは以前にもあった。封じられる前の、何も知ることの無かった無垢な自分。 知ってしまった真実、裏切りと絶望。 この心のわだかまりは、レラジェにとって決して良いことではなかった。
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