第一章 絆

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雲一つ無い青空。 今まで違う空ばかり見てきたからか、空はまるで動物園の動物でも見るような目で物珍しそうに見上げながら歩いていた。 今は、空が目を覚ましてからちょうど一日が経過した昼。 ふつうの学生ならば学校で勉学に勤しんでいるところだが、無期限休学届けを出している空は、学校ではなく病院に向かっていた。 病院といっても、空自身が怪我をしているわけではない。 偶然にも日本に戻ってきたということもあり、今はとある理由で寝たきりになってしまった幼なじみのお見舞いに行くためである。 しかし、人を気遣う空にとっては珍しく今の空は、色とりどりの花や、フルーツの盛り合わせなど、気の利いたものは何一つ持たない手ぶらだった。 それは、ほぼ成り行きで日本に戻ってきてしまったため、財布や携帯を始めとする、日常生活に必要な最低限のものは全てベルリンに置き忘れてきてしまっていたのだ。 家に帰れば通帳などから現金を引き出すこともできたのだが、生憎唯一の家の鍵もベルリンに置き忘れてきてしまっていたので、家に戻ることもできず、昨日は結局あのまま由真の家に泊めてもらっていた。 しかし、それも一つ屋根の下で若い男女がなどというその類の物語のような男女の葛藤などは全くなく、それどころか雰囲気は険悪に近いものであった。
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