漆黒の空Ⅳ

プロローグ

人知を越えた力を持つ人、ノア。

世界の裏側より来た、この世界を改変しようとする人ならざる者、時変者。

何千年もの長きに渡って戦い続けてきた彼らに、今一時の休息が与えられた。

それを機に、ノアの人々は自分たちの本拠地、地上都市アースリィホームと、地下空間フィルグラディに集結していた。

このノアの本部は、一般人に侵入されないように、内側から対人用の防御措置を取っている。

しかし、これは初代ノアの長の断続的な発源の為であり、資料も残っていない現代ではその理屈を推測することくらいしかできない。

そんなこともあって、この本部が地図上のどこにあるのかは、正確には誰も知らない。

イギリスの上あたりだと言う者もいれば、グリーンランドの真横だなどと言う者もいる。

しかし、そんな的外れな話をするために今現在、ノアが本部に集まっているのではない。

今回このような無理を通したのも、番人シャルディの裏切りによって準備をする間もなく始まったノアと時変者の戦いが、一段落ついたという理由からだ。

ほぼ不意打ちに近かった今回の戦いで、ノア側の被害はとてつもないものになっている。

今回は、その話と今後の方針についての話題が主とされる集会だった。