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そして空の思った通りに、扉に刻まれた細い線は一瞬だけ凄まじい光を放った。
手を翳して光を遮った空が見たものは、ゆっくりと開かれていく扉。
空はその瞬間に逆の手で握り拳を強く握りしめた。
「…ふぅ…収まったか…」
空がそう呟くと、由真達も扉の方に目をやった。
一層目よりはありがたみに欠けてはいたが、これも歴史的発見である。
しかし、人間とは実に状況適応能力の高い生き物である。
空達四人は、扉の奥にあった物を見て、喜ぶでもなく、悲しむでもなく、ただため息を吐いた。
それも無理はない。
ようやく開けた二層目の扉の奥には、明らかにそれまでと同じような扉があったのだ。
「はぁ……これ…いい加減にしてもらえないかしらね…?」
「そう言うなよ…」
空も由真も、紗希も、オルスカでさえこの今の状況に何の危機感も抱かなかった。
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