第五章 躍動

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歴史的瞬間に立ち会えたことは素直に嬉しかったのだが、このように何度も同じようなことをされては、呆れてしまうのも当然といえば当然だった。 そのような心境で三層目の扉を見てみると、扉には先ほどのクラウ・ソラスを差し込むための窪みよりも、遥かに小さな窪みがポツンと真ん中に刻まれていた。 「…ねぇ…空…、これって…」 「…多分…そうだと思う…」 しかし、空も由真も、次の扉を開くための条件がすぐに分かった。 何故なら、この扉は何度も見たことがあるからである。 空の左腕にある腕輪。 空間を転移するための宝具、俗称で言う通行証。 その通行証で作り出す扉に酷似していた。 異なる点はただ一つ、真ん中にある小さな窪みだけである。 「でも…おかしいわよ。通行証はあんたが直々に時陰の使徒から貰ったものでしょう? それが何でここに…」 由真が抱くのは当然の疑問。 それまでの扉の共通点は、雷帝 レイン=シリウスだったが、ここに来てその共通点が崩れていった。
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