第五章 躍動

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紗希もオルスカも、二人の会話をただ傍聴している。 一方で謎が解けたという嬉しさもあったのだが、それ以上に空と由真の会話を聞き、雷帝と通行証の共通点の事が気になっていた。 「…レインが実は通行証を持ってた…何て事は…」 「無いわね。雷帝、風王、炎神の記録は他のどのノアよりも詳しく書かれているわ。 もし雷帝が通行証を使ったりしてれば…確実に記録に残るもの…」 空がようやく絞り出した考えを、由真は簡単に否定した。 そうなると、この場の全員が一つの結論に達することになる。 雷帝と通行証の共通点とは、他でもない屑桐空である。 雷帝の力を受け継ぎ、通行証を持つ人物など、歴史上のノアを探るまでもなく空ただ一人だった。 しかし、その結論には、当然ながら無数の疑問が付きまとってくる。 さらに、今はまだこれは仮説の段階である。 それゆえに空は、考える前にまず行動に出た。
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