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「どこか痛いところはない…?」
現在の状況を認識した空に対して、由真は優しくそう尋ねてきた。
「…右腕がちょっと痛いだけだけど…」
由真のいつもとは違う様子に少し戸惑いながらも、空はそう報告した。
普段の空ならば隠していたのかもしれなかったが、今のこの痛みは、長期間耐えられるような優しいものではなかった。
「…ちょっと見せてみなさい?」
由真は空の言葉を聞くと、空の頭を自分の膝の上に乗せたまま、右手を空の右腕の方に運んでいった。
そして、空の反応と腕の状態を交互に確認し、どこを痛めたのかを探っていく。
「まったく…、あんたは無茶しすぎなのよ…。何秒間落下してたと思ってるの?
それをあんな方法で減速させたら…怪我だってするわよ…」
苦痛に歪む空の顔を見下ろしながら、由真は治癒光を空の右腕にかけた。
暖かい光が、空の腕を包み込んでいく。
「…でも……助かったわ…。空、ありがとうね?」
由真に謝罪をしようとしていた空だったが、由真のその言葉を聞いたことで、途端に喜びが沸き上がってきた。
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