第六章 因果の迷宮

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すると先ほどと同じように、空の頭の中に複雑な紋章がイメージとして現れた。 一度経験したからなのかは分からなかったが、空は先ほどよりも素早く紋章に沿うように発源の力を流し込んでいく。 そして、数秒とたたないうちに扉は開き、その奥の光景が姿を現した。 「……よく見えないわね…」 扉が開いたと同時に立ち上がり、空の後ろまで歩いてきた由真が、空の肩から奥をのぞき込み、思わずそう呟いた。 由真の言うとおり、奥は暗く、迂闊に進めば取り返しがつかないことになると、無意識ながらそう思わせるほどにこの扉から伸びる狭い道は怪しいものだった。 幅は約二メートルほど。高さはそこからさらに一メートルほど伸ばした程度の、お世辞にも広いとは言えないような通路。 さらに、光源が周りに無いためか、数十センチ先すらまともに見ることができない。 暗所、そして閉所なこの通路を、空たちは無理にでも進まなければならない状況に陥ってしまったのだ。
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