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しばしの沈黙の時間を乗り越えると、二人の前に望ましくない光景が見えてきた。
「…最悪ね…」
足を踏み入れてから初めて放った言葉。
由真がそう言うのも無理はなかった。
二人の前にある道は、完全な分かれ道だったからだ。
途中で合流する可能性も否定はできないのだが、そんな無意味な造りにする理由もなく、また、安易に進むこともできなかったために、二人は分かれ道の直前で足を止めた。
「…バラバラに進む…なんてことは…」
「無理ね…。この場合別れることだけは絶対にしちゃいけないわよ…。
あんたか私だけが出口にたどり着いても意味ないもの…」
由真は出口という言葉を口にした瞬間、一つのことを思い出した。
「そう言えば空、あんたの通行証って使えないの?」
今まで考えもしなかったその事に、由真は自分に呆れてしまった。
今まで何度も通行証によって危機を脱していたからこその考えだったが、問われた側の空はあまり優れた表情をしてはいなかった。
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