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すると、いた。
前方の空いた空間のさらに奥の空間に、由真はいた。
しかし、奇妙だった。
由真は声を上げずにその場に立ち尽くしていたのだ。
いくらヴォルケーノによる爆音があったとしても、由真という存在そのものに意識を集中していた空に声くらいは聞こえるはずだ。
それが無かったということは、由真は声を出すことなく、さらに逃げる素振りすら見せずにヴォルケーノの中に立っていたことになる。
「由真っ!!」
だが、空にはそんなことを深く考えている余裕はなく、身を小さくして作り出した穴に入っていき、由真を抱えると、インビジブルを使いなんとか由真をヴォルケーノの中から救い出すことに成功した。
「おい由真っ!!しっかりしろ!由真!!」
ヴォルケーノから距離をとり、由真の体を軽く揺らしながら空は由真に呼びかけた。
すると間も無く由真は目を開き、目の前の空を視界に入れる。
「ん~……?あっ!」
だが、何かがおかしかった。
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